JWT(JSON Web Token)とOAuthは、どちらも認証と認可に関する標準ですが、それぞれ異なる用途や目的があります。以下に、JWTとOAuthの違いを説明します。
JWT(JSON Web Token)
JWTは、クライアントとサーバー間で情報を安全に送信するためのコンパクトでURLセーフなトークンフォーマットです。主に認証に使用されます。
特徴
- 構造:
- JWTは3つの部分から構成されています:ヘッダー、ペイロード、署名。
- これらの部分はドット(.)で区切られ、Base64でエンコードされています。
- 使用方法:
- 認証情報を含むトークンを生成し、それをクライアントに渡します。
- クライアントはそのトークンをリクエストのヘッダーに含めてサーバーに送信します。
- サーバーはトークンを検証し、ユーザーの認証状態を確認します。
- 利点:
- セッション管理が不要:トークン自体に情報が含まれているため、サーバー側でセッションを保持する必要がありません。
- スケーラビリティ:分散システムでの使用に適しています。
- 例:
- 認証:ユーザーがログインすると、サーバーはJWTを生成してクライアントに返します。クライアントは後続のリクエストでこのトークンを使用して認証を行います。
OAuth(Open Authorization)
OAuthは、ユーザーのリソースへのアクセスを第三者に許可するためのフレームワークです。主に認可に使用されます。
特徴
- 構造:
- OAuthは複数のフロー(認証コードフロー、インプリシットフロー、パスワードクレデンシャルフロー、クライアントクレデンシャルフロー)を持ち、用途に応じて適切なフローを選択します。
- 使用方法:
- ユーザーは第三者アプリケーションに対して、自分のリソースにアクセスする権限を付与します。
- サードパーティはアクセストークンを取得し、そのトークンを使用してリソースサーバーにアクセスします。
- 利点:
- セキュリティ:ユーザーのパスワードを共有せずに、第三者アプリケーションにアクセスを許可できます。
- 柔軟性:複数のフローがあるため、さまざまなシナリオに対応できます。
- 例:
- サードパーティログイン:ユーザーがFacebookやGoogleでログインすると、OAuthを使用してサードパーティのアプリケーションがユーザーの情報にアクセスします。
比較
特徴 | JWT | OAuth |
---|---|---|
主な用途 | 認証(Authentication) | 認可(Authorization) |
データの形式 | コンパクトなトークン(ヘッダー、ペイロード、署名) | 多段階のフロー(認証コード、アクセストークンなど) |
セッション管理 | トークン自体に情報を含むため不要 | サードパーティのアクセス許可に使用 |
使用ケース | ユーザーログイン、APIの認証 | サードパーティログイン、リソースアクセスの許可 |
セキュリティ | トークンの署名と検証 | トークンの発行とスコープ制御 |
実際の使用
- JWT: 単純な認証システムや分散システムに適しています。例えば、ユーザーがログインしてアプリケーション内で認証を維持する場合。
- OAuth: サードパーティのアプリケーションにリソースへのアクセスを許可する場合に適しています。例えば、外部のソーシャルログインやAPIアクセス。
さいごにまとめ
これらの技術を理解し、適切なシナリオで使用することで、セキュリティとユーザビリティを向上させることができます。